防災トピックス
 防災トピックス インデックス >> 消火器の不適切点検に遭わないためには!


 「消火器の不適切点検に係る留意事項について」(平成17年8月12日付け消防予第187号)により、消火器不適切点検に係る実態調査結果がとりまとめられ、各都道府県消防防災主管部長、東京消防庁・各指定都市消防長あてに通知された。


■不適切点検の調査結果(調査結果から得られた最近の傾向)
不適切点検の発生件数は、半年間で484件(1年間に換算すると968件)であり、昨年の調査結果データ(「消火器の不適切点検に係る執務資料の送付について」(平成16年9月10日付け消防予第162号)別添。以下「15年中データ」という。)の1,260件と比較するとやや減少している。
請求額は15年中データと比較して、やや減少はしているものの、消火器1本当たりの請求額をみても、大きな変化は見られない。
都道府県別では、各都道府県により不適切点検の件数にばらつきがあるものの、都市部(特に近畿圏)において比較的多い。
用途別では、工場、事務所、一般住宅等が多くなっている。
時間帯別では、一般の会社等の勤務時間に合わせて多く発生しているが、午後の時間帯が比較的多い。
手口別では、約8割以上が点検・詰め替えを名乗っている。
支払い状況は不明のものが多いが、請求額に対して、少しでも支払ったものが約4割であったのに対し、未払い・未遂が約3割となっており、不適切点検に対する一定の知識が事業所の関係者等に周知されつつあることが考えられる。

■不適切点検の巧妙な手口の事例

出入りの点検業者を装い、事前の電話(女性の声が多い)により点検の予約をとる。
訪問時には電話で事前に説明済みであることを、受付や対応従業員に口頭のみで簡単な説明で済まし、契約書であることを隠して(預かり書などのように見せかけるなど)、サインをさせる。また、当該契約書は、契約について責任のない者がサインをしても有効である旨が備考などに記されている。
すぐに消火器を回収しはじめ、離れた場所で全数の消火薬剤を交換する。
点検作業を全て終えた状態で金額の請求をする。
関係者等が、請求額が高額であることに気付き、出入り点検業者ではないと分かっても、支払いの拒否をすると、回収した消火器を返却しないなどとまくし立て、すごむなどにより、支払いを強要する。

■高額な請求があったとき
一般住宅の場合
原則として契約日から8日間はクーリング・オフが適用されるので、配達証明付き内容証明郵便等により契約等の撤回、無効の主張を行うことが有効である。
必要に応じて消費生活センターに相談することも有効である。
事業所等の場合
クーリング・オフの適用ついては、「特定商取引に関する法律」(昭和51年法律第57号)第26条第1項において、「売買契約又は役務提供契約で、その申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供」は適用除外とされているが、「大阪高等裁判所 平成15年7月30日判決 平成15年(ネ)第1055号 動産引渡等請求控訴事件」のように、事業所における消火器の不適切点検について契約の無効が認められた事例もある。
不適切点検業者が言った言葉やその手口を詳細に記録しておくことにより、弁護士等と相談の上で、錯誤による契約の無効や詐欺を主張することも考えられる。
消火器の不適切点検によるトラブルについて裁判で争われた事例としては、上記の「動産引渡等請求控訴事件」の他に「大津地方裁判所 平成13年12月7日判決 平成13年(ワ)第198号 請負代金請求事件」が挙げられる。これらの裁判の概要については消防庁のホームぺージ(http://www.fdma.go.jp/html/life/caution.html)に掲載されている。